公立岩瀬病院様について
公立岩瀬病院様は、どのような病院なのでしょうか?
三浦様:当院は、東洋医学をもとにした和の治療が一般的だった明治5年に、西洋医学式の病院として須賀川市に設立されました。同時期に須賀川医学校も併設され、後に関東大震災の復興に尽力するなど多くの功績を残された後藤新平氏も卒業生の一人です。
開業以来146年以上、地域の皆さんの健康を見守る地域医療の場として認知されており、急性期医療や訪問介護、地域包括支援事業などに取り組んできました。
2011年の震災時には本館病棟が全壊し、外来棟も大きなダメージを受けました。ですが、幸いにも翌日12日に引っ越す予定だった新病棟が既に完成していたこともあり、一人のけが人もなく入院患者さんを新たな病棟に移動させることができました。また、使えなくなった外来棟の代わりに、病棟のラウンジや救急室、パーテーションで区切った廊下などで患者さんの診察をするなど、とにかく大変でしたね。そして、2013年12月には新たに外来棟が完成しました。
2013年に完成した外来棟をはじめ、施設建設時にはどのようなところにこだわられたのでしょうか?
三浦様:当院は、須賀川駅からまっすぐに伸びる一本道を来たところにあります。高台にあるために地域のさまざまな場所から見えるので、街のシンボルタワーのような役割を目指して建設してきました。そんな思いから、病棟の壁は全部で256色のライトアップができるようになっていて、お祭りなどのイベントごとに鮮やかに光るように設計しています。2013年に完成した外来棟は、震災の教訓を活かした設計を行いました。待合室や会議室は、緊急時に患者さんの治療に活用できるように酸素の配管が伝っていて、壁面から酸素や吸引が出るような作りにしてあります。
車で15分ほどのところには空港もあるので、たとえ飛行機事故が起こったとしても、すぐに全フロアが救急医療の現場として対応できる体制が整っています。
また、その他にも多くのこだわりがあります。ロビーや廊下は、ストレッチャーで運ばれる患者さんが天井を見ても眩しくないよう、間接照明を多く取り入れています。それ以外にも小児科の天井は青空の模様にしたり、患者さんが飽きないようにさまざまな装飾を施したり、いくつもの科を渡り歩くご高齢の患者さんに負担をかけないように外来の科は全て、ワンフロアにまとめる工夫をしました。
アルメックスさんの製品を導入したことも、こだわりの一つですね。設計の段階から、患者さんの動線を考慮した上で自動精算機や診察案内表示のモニターをどこに配置するかを決めたので、最適な場所に設置することができたと思っています。
2017年4月には、産科婦人科病棟も新たに設立されました。この病棟を、どのような思いで設立されたのかを教えてください。
三浦様:私自身は日々「この街では無駄に人を死なせない」という理念を持って、生きています。人類は、死亡率 100%ですよね。どう頑張っても死亡率は下がらない。それなら、生まれてから亡くなるまでをいかにこの街で楽しく過ごしてもらうか、そんなことをモットーに患者さんと接しています。
この思いを実現させるための一歩として設立したのが、産科婦人科病棟です。計画当初は、反対の声もありました。ですが、震災の影響で福島県は若い世代の人口が少なくなっています。「安心して子どもを産み育てるまちをつくる」との思いで、国や県、周囲の市町村から援助をいただいて、どうにか実現することができました。病棟が新設されてからの一年間で約540人の子どもが、ここで誕生しています。
地域の皆さんに愛されてきた公立岩瀬病院様ならではの取り組みがありましたら、教えてください。
三浦様:外来棟のロビーには、アクアマリン福島という、いわき市の水族館との連携で実現したクラゲ水槽を展示しています。患者さんに和んでほしいという思いや命の営みを知ってもらえたらという思いで取り入れた、この水槽。水族館の職員の方が定期的に来てくださり、クラゲの種類も時々変わっていて、お子さんは特に食いつくように見ていらっしゃいますね。
また、年に一回は14歳になる中学生を当院に招いて、手術体験セミナーを開いています。このセミナーでは実際の手術室を半日貸し切って、模擬手術を体験してもらいます。
この取り組みを続けて10年以上になりますが、第1回目の時にこのセミナーに参加してくれた中学生が、今年研修医2年目として近くの病院で働いています。この取り組みもようやく実を結んできたなと感じ始めているところです。
それから、教育面だけでなく食の面でもこの街を支えたいという思いから、病院敷地内では毎日JAさんが「はたけんぼマルシェ」を開いていて、地元の新鮮な野菜などを販売しています。私たち医師や患者さんも買いに行きますし、地域の皆さんもいつもたくさんいらっしゃってくださり、大人気です。こんな風に患者さんやご家族だけでなく誰もが気軽に来ることができる、そんな街のコミュニティーの場になりつつあります。
アルメックスの製品について
有賀様:当院では、以前からアルメックスさんの自動再来受付機を導入していて、車椅子の患者さんのことまで考えられたデザインが職員からも患者さんからも好評でした。外来棟を新しく建設すると決まったとき、時代の流れから考えて今後は間違いなく自動精算機も導入するべきだろうと思ったんです。そこで、アルメックスさんに 自動精算機の実機を持って来ていただき、職員全員が実際に操作してみました。すると、とても操作がしやすいと好評でした。自動再来受付機同様に車椅子の患者さんのことを考えられたデザインに関しても評価 が高く、自動精算機もアルメックスさんのものを導入しようと決めました。
また、こういった機械は導入するだけでは意味がなく、導入した後もきちんとメンテナンスに対応してくれるのか、カスタマイズなどの要望にもしっかり応えてくれるかといった点も重要なポイントだと考えています。そういった点から見た時にも、アルメックスさんはきちんとアフターフォローまで対応してくださる会社だと信頼していましたし、自動精算機に関するカスタマイズの要望にもしっかりと応えてくださったので、安心できました。
自動精算機の導入の際に、どのようなカスタマイズを希望されたのでしょうか?
三浦様:当院のように地方にある病院の場合、車でいらっしゃる方がほとんどですので、お会計の時に駐車場の支払いも同時にできたら便利になるだろうと考えていました。
そこで、 駐車場のシステムを提供されているAMANOさんと提携して、患者さんが自動精算機でお会計をする時に、わざわざ駐車券を受付に持っていかなくてもその場で優待を受けられる機能を追加していただいたんです。このような機能を追加したことによって、車で来られる方は皆さん便利に使っていただいているのではないでしょうか。地方にある病院だからこそ必要なサービスを、アルメックスさんはきちんと体現してくださっているなと感じています。
実際に自動精算機を導入されてみて、どのような効果を感じていらっしゃいますか?
有賀様:導入したばかりの頃は、ご高齢の患者さんは操作の仕方がわからず戸惑っている方もいらっしゃいましたが、大体の方は何度か教えると覚えてくださり、今では問題なく使っていただけているようです。操作の仕方がわからないという患者さんには、午前中はボランティアの皆さんが、午後は職員が自動精算機の横で立ってサポートするので、ほぼ100%の支払いを自動化することができるようになりました。
三浦様:経営者の立場から言うと、現金を職員に扱わせないことが大きなメリットになっています。締めの作業をして金額が合わないとなると、疑われてしまうのは当の職員です。あらぬ疑いをかけられるのは、本当に嫌ですよね。お互いのために、機械に任せられるものは任せることができているので、本当にありがたいと思っています。
その他の製品については、いかがでしょう?
有賀様:診察案内表示や会計表示を導入したことで、「病院内が静かになって良かった」と患者さんがおっしゃいますね。それまでは、一人ひとりマイクを使って患者さんを呼び出していましたので、どうしても騒がしくなってしまっていました。やはり、患者さんにとって待ち時間は苦痛なもの。騒がしかった時間が静かになったことで、皆さん落ち着いてお待ちいただけるようになったようです。それに加えて、クレームを受けることもぐんと減りました。
三浦様:半年ほど前から試験的に、診察案内表示をスマホで見ることができるアプリのSma-pa(スマパ)も導入しています。これを初めてアルメックスさんに提案していただいた時に、私自身が使いたいなと思い、試験導入を始めました。病院内にいなくても、例えば車の中や近くのお店でスマホから待ち時間を確認することができるというのは、とても便利ですよね。当院は高齢の患者さんが多いこともあり、まだこの便利さが皆さんに伝わっていないという現状もありますが、今後周知をしていって、たくさんの方に使っていただければと思っています。
メンテナンスをはじめとしたサポート体制については、いかがでしょうか?
有賀様:先ほども申し上げたように、アルメックスさんは製品の質が良いだけでなく、アフターフォローも徹底されている会社さんです。自動再来受付機のみを導入していた時からそのサポート体制には当職員から定評がありましたが、自動精算機を導入してからも定期的にメンテナンスに来てくださっていて、いつも大変助かっています。以前も経年劣化によって製品の動作が上手くいかなくなってしまった時に連絡すると、すぐに交換してくださいました。とてもスピーディーで、大変ありがたかったです。
今後、アルメックスに期待することがありましたら教えてください。
三浦様:自動精算機や自動再来受付機について、インターフェースにはとても満足しています。そんな中で最近こんな機能が追加されたらより良くなるのではと考えているのが、顔認証システムです。顔認証でロックを外すことができるスマートフォンを私自身が使っていて、とても便利だなと思っているのでアルメックスさんの自動精算機にもぜひ取り入れていただきたいです。そうすれば、いずれは診察券や保険証を使わなくても一瞬で本人確認ができるようになって、とても楽になるんじゃないでしょうか。
後は、よく空港にある体温を一瞬で識別できるシステムも取り入れていただけたら嬉しいですね。例えばインフルエンザなどの感染症の患者さんは熱を持っているはずなので、診察の前にそれがわかるとかなり便利になりそうだなと思います。SARSが流行した当時、亡くなった人の半数は看護師でした。患者さんを守ることはもちろんですが、職員を守るためにも、これらのシステムが実現したら即導入したいと思っていますので、どうかよろしくお願いします。
今後について
最後に、公立岩瀬病院様の展望を教えてください。
三浦様:2017年4月に産科婦人科病棟が完成し、生まれてから亡くなるまでを当院で過ごすことができるシステムは整いました。患者さんにより便利に、より安心して通っていただける病院を目指していきます。
そして、次に力を入れていきたいのは在宅医療の分野です。この街で、誰もが心豊かに暮らすためのインフラになっていきたい。例えるなら街の一本一本の道路が病院の廊下で、地域の皆さんのそれぞれのご自宅が病室で、ご自宅にいても誰もが適切な治療を受けることができる、そんな環境を整えていきたいですね。また、私たち病院ができることはそれだけではありません。地域の皆さんに教育の機会や食を通じたふれあい、働く場所など、さまざまなことを提供していけるはずなので、今後そのような取り組みにも力を注いでいこうと考えています。病院の従来の役割を超えて、地域の皆さんの一生を支えていくことができる存在になっていけたらと思っています。