びわこ緑水亭さんは、どのような旅館なのでしょうか?
全部で部屋数は70室あり、すべてのお部屋が琵琶湖を眺められる特等席となっております。景色が見えやすいようにと窓を大きめに設計していますので、晴れた日にはとても気持ちがよく、すばらしく感動的な朝日が見えるんですよ。また、そのうちの50室が露天風呂つきのお部屋で人気になっています。
開業から今年で19年目。旅館としては比較的まだ新しい方です。実は、元々ここに建っていた旅館を買い取り、徐々に改装を重ねてきたからなんです。お客さまは関西の方が多いですが、京都から近いこともあり東京からの観光客もたくさんいらっしゃいます。以前は団体のお客さまがほとんどでしたが、それぞれのお部屋に露天風呂がついているということで、最近は個人のお客さまが増えてきています。
お客さまへのサービスで、特に力を入れているところを教えてください。
お出しする料理にはこだわりがあり、今年の「第39回 プロが選ぶ日本のホテル・旅館100選料理部門」で82位に入賞しました。お客さまに本当によいものをお出ししたいという料理長のもと、手作りにこだわっていて、お料理も出来上がった順番にご提供しています。京懐石料理をメインにしていますが、質のいい近江牛もお出ししていて、それがまた喜ばれていますね。
あとは、アルメックスさんのご提案でお部屋の鍵にICチップを取り付け、滞在中の売店でのお買い物などにお財布を持ち歩かなくて済むようにしたこと。精算は最後のお支払い時の一度で済みますので、こちらもお客さまからご好評をいただいております。
トップクラスの高い稼働率を誇るびわこ緑水亭さんですが、集客のためにされていることはなんですか?
ITを積極的に活用しています。びわこ緑水亭のホームページはいろいろな本を読んで勉強して、専務である私が作成しました。私はなんでも自分でやらないと気が済まない質なんですよ。ホームページに載せる写真はプロのカメラマンさんに頼んで定期的に増やしていて、電話以外にもホームページやじゃらんのサイトからでも予約が取れるシステムになっています。
このホームページには、お客さまからいただいたご意見をそのまま載せています。お褒めの言葉をいただくこともありますが、ここが良くなかったなどと、お叱りのお言葉をいただくこともあります。いい評価だけを載せているようなホームページが時々ありますが、あれはちょっと嘘っぽいですよね…。悪い点は隠したままではなかなか改善されません。オープンにすることによって従業員一人ひとりの意識を高めていこうというスタンスで頑張っています。
それから、大きな旅館には必ずと言っていいほど営業課がありますが、緑水亭に営業マンはいません。営業マンが旅行会社をまわって営業する代わりに、私たちはお客さまへのサービスに充てています。売り上げが上がれば旅館の改築費や設備投資へ回していき、それが巡り巡ってお客さまに還元できればと思っています。
社内教育で、力を入れていることはありますか?
従業員の出勤・退勤をパソコンやスマートフォンなどからできるようにしていて、その際に従業員専用のイントラネットを必然的に見てもらう仕組みになっています。こんなイベントがあります、この日は社長がいません。などのスケジュール把握までできるので便利ですし、連絡漏れもありません。また、従業員には何か提案があれば、どんどん発言していくようにと教育しています。緑水亭では積極的に高校や専門学校を卒業したばかりの若い方たちを多く採用していますが、意識の高い従業員ばかりで、自らいろいろと提案してくれます。
お客さまに喜んでもらいたいという思いが強く、「こんなサービスはどうですか、こんなイベントをやってみてもいいですか」という風に言ってきてくれて、感心しています。そんな従業員たちのために、旅館が忙しくない時期には社内イベントを定期的に開催しています、バーベキューをやったり、フットサル大会を開いたり…従業員たちの精神面のケアにはなるべく気を使っています。楽しんで仕事をしてもらうのが、一番ですから。
アルメックスの自動精算機を導入するきっかけはなんでしたか?
一番は、お客さまの精算の際にかかる時間を短縮するため。チェックアウトの時間はどうしても朝の20分くらいの時間に集中するものですから、今まではお客さまを大変お待たせしてしまうこともありました。「人手を使わなくて済むところは機械で済ませよう、逆にもっと誠心誠意サービスをしたいところに従業員を配備しよう」という思いから、自動精算機を導入することになったんです。今では、1名さま2分もかからないくらいです。
もうひとつは、従業員の労働時間削減のため。以前は最後の集計でお金の計算が合わないことで、2時間も3時間も残業する従業員がいたんですよ。今は一度でぴたりと計算が合うようになったので、お金が合わなくて残業するということもなくなりました。
アルメックスの機械に決めたのは、精算機を販売している会社のカタログを一通り見た中で、デザインがよく、かっこよかったからですね。普段よく読んでいる雑誌「ホテル旅館」にも製品が紹介されていたので、これはと思い、導入を考えました。
自動精算機を導入されたことで、実際にどのような効果がありましたか?
以前はチェックアウト時の精算に時間を取られて、お客さまのお見送りに行けないことがあったのですが、精算にほとんど人手がかからなくなったことで、必ず従業員の誰かがお見送りできるようになりました。確実にお客さまへのサービス向上につながっていると思います。旅館で自動精算機を導入するのはどうなのか…という意見もありましたが、お年寄りの方でも少し説明すれば、「病院にある機械と同じだ」とおっしゃって、抵抗なく使ってくださっています。待たされないので、お客さまにとっては特にいいんじゃないでしょうか。
先ほどもお話ししましたが、お金の計算も一度で合うようになり、従業員が残業をしないで済むようになったことも、とても大きいですね。私たちのように旅館で働く従業員は労働時間が長くなりがちですが、精算機のおかげでかなりの負担軽減になっていると思います。
最後に、今後のびわこ緑水亭さんの展望を教えてください。
旅館の付加価値という面で、もっともっとレベルアップしていきたいですね。お客さまに満足していただくには、それが一番大事なことだと思っています。お客さまが感動されるようなサービスを従業員全員でご提供する。結果的にそれが、お客さまの喜びと旅館の価値向上にもつながるはずですから。アルメックスさんのシステムについては、以前も提案してもらっていたのですが、現在は鍵にICチップがストラップのようなかたちでぶら下がっているので、鍵とICチップが一体化したものに変えたいと思っています。お客さまに喜んでいただけるよう、使いやすさやデザインに対してもこだわりを持ち続けたいですし、新しいシステムやサービスなども、どんどん導入していきたいですね。