ゴルフ場のデジタル活用の現在地
ゴルフのプレー方法やルールが確立したのは1800年代後半といわれています。英国では1901年にプロゴルフ協会(PGA)が創設され、その前年の1900年には第2回オリンピックでゴルフが正式競技にもなりました。
以来、細かな調整はあるもののゴルフのプレースタイルは変わっていません。クラブでボールを打ち、グリーン上のカップを目指すアナログで伝統的なゲームです。
一方で、ゴルファーやゴルフ場を取り巻く環境は大きく変化しています。その背景にあるのがデジタル活用です。
例えば、ゴルフカートには各ホールの距離やハザードの位置を示すナビゲーションが搭載され、手書きが当たり前だったスコアもナビに入力できるようになりました。ハウスでは自動精算機の導入が進み、ゴルフ場外においてもシミュレーションマシンで世界の有名コースをゲーム感覚で回ったり、スイング解析アプリを使って上達を目指したり、自分に合うクラブ選んだりできるようになりました。
ゴルファーのニーズとゴルフ場の課題
これらデジタル活用により、ゴルファーのプレー環境は快適さが増しています。前述したカートのナビを例にすると、キャディによるサポートやアドバイスがなくても各ホールの状況が分かり、初めて訪れるゴルフ場でも攻め方を考えることができるようになりました。自動精算機についても同様に、精算にかかる手間と時間が短縮できます。
これらはゴルファーのメリットですが、見方を変えるとゴルフ場のメリットでもあります。
従来のゴルフ場運営では、スロープレーによってコース上での待ち時間が発生したり、フロントでチェックアウトする時に、列ができたり計算ミスがあったりすることが不満要因となり、ゴルフ場の評価を下げる原因となっていました。
しかし、ナビ付きカートがあればGPSによってコース上のゴルファーの位置が把握でき流ため、リアルタイムで進行状況を確認し、スロープレーを対策できます。自動精算機も待ち時間の解消やおつりなどの計算ミスを減らす効果があり、これらを通じてゴルフ場の評価を高めることができます。
また、人手不足の解消にもつながります。ゴルファーの位置情報をキャディマスター室で把握することで、コースを見回るスタッフを減らせますし、自動精算機によってフロントのスタッフを減らすこともできます。
歩きのセルフが便利になる
このような進化があるなかで、さらに新たなデジタル活用が注目を集めつつあります。それがキャディロボです。
キャディロボは、歩きのセルフプレーをサポートするロボットで、キャディの主な業務であるゴルフバッグの持ち運びやコースの情報の伝達を代替しながらゴルファーを追随走行します。
ゴルファーがキャディロボを使うメリットは3つあります。
1つは、歩きのセルフプレーがラクになることです。歩きのセルフプレーはゴルフバッグを乗せた手引きカートを引いて歩きますが、キャディロボを使えばその必要がなくなります。これは手引きカートを引く体力的な負担が大きい女性、ジュニア、シニアにとって大きなメリットです。手ぶらでラウンドすることで、コースの景観や自然も楽しみやすくなるでしょう。
ゴルフの健康効果を高められる
2つ目のメリットは、歩きのラウンドによって健康増進につながることです。セルフプレーではカートに乗る人が多いのですが、健康のためには歩きの方が効果が大きいことは明らかです。ゴルフゴルフ総合研究所のデータによると、カートに乗るラウンド(18ホール)で歩く距離は5〜7km、消費カロリーは500kcalです。一方、歩きのラウンドは、歩く距離が約10km、消費カロリーが700~800kcalで、1.5〜2倍の運動になります。
仲間同士で気軽にラウンド
3つ目は、キャディへの気遣いがいらなくなることです。仲間だけで楽しみたい人は初対面のキャディに気を遣うことが多く、セルフプレーが増え続けている背景にも、ゴルフを気軽に楽しみたい、カジュアルにラウンドしたいといった心理があります。また、キャディ付きプレーはキャディフィがかかり、ゴルフ場によってはキャディへのチップが必要になることもあるため、費用負担も大きくなります。
その点、キャディロボはロボットですので気遣いもチップも不要です。キャディロボにナビなどを搭載することによってコースに関する情報も入手でき、GPSによってピンまでの正確な距離なども分かります。
また、タブレットと通信環境さえあれば、コース上で受信できる情報はさらに広げられます。今後はコースガイドのみならず、攻め方のアドバイスやコース上の草花の情報などについても自由に取得できるようになるかもしれません。
まとめ
キャディロボは、ラク、健康、気楽といったメリットを通じて歩きのセルフプレーの価値を高めていくでしょう。セルフプレーは、カートに乗るか、歩くかの二択でしたが、これらメリットが周知されていくことで、今後はキャディロボを使う歩きのプレーが第3の選択肢として普及していくかもしれません。デジタル活用によって生まれる新たな体験を通じて、ゴルフはもっと快適に、もっと楽しいものへと進化していくはずです。
<執筆者プロフィール>
・執筆者:内田浩樹
・所属:株式会社アルメックス 構造改革本部 企画部
・経歴:
株式会社アルメックスに新卒で入社、入社24年目。入社後の最初の3年間は営業部門で働き、その後新製品導入チームに異動し、10年間開発部門に在籍しました。その経験を通じて会計や会社の仕組みに興味を持ち、経営企画に転身し、7年間の経験を積みました。現在は、新しい取り組みやアルメックスのデジタルトランスフォーメーション(DX)の推進を担当する構造改革本部で、自社利用システムの導入と運用管理に携わっています。
・保有資格:
マーケティングビジネス実務検定B級、簿記2級、第2種電気工事士、普通自動車免許、防災士など
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