業務用清掃ロボットとは?
業務用清掃ロボットは、会社のオフィスやショッピングモール、飲食店、ホテル、工場、医療施設などで使用される自動清掃機器です。広い施設や人手不足や高齢化に伴う後継者不足に悩む業種を中心に、活用の幅が広がっています。ゴミやチリの吸引や床拭き機能を搭載したロボットが広く知られていますが、昨今は用途が拡大し、窓ふきや水面の清掃などに特化したロボットの開発も進んでいます。
家庭用清掃ロボットとの違い
業務用清掃ロボットは、一般の家庭用清掃ロボットと異なり、商業施設や大規模なオフィスなど、広大なスペースの清掃に適しています。連続稼働時間が長く、吸引力の強さやフィルター性能の高さも特徴として挙げられます。家庭用清掃ロボットに比べて、頑丈で長期使用にも耐えうる構造です。なお、小規模のオフィスや飲食店などでは、家庭用の清掃ロボットが使用されることもあります。
清掃ロボットが開発された歴史と背景
清掃ロボットは、軍事や産業開発で培った技術をもとに、地雷撤去や宇宙開発を見据えた探査用ロボットとして開発されました。地面にある障害物を認識し移動するという技術を用いて、日本では1970年代から業務用清掃ロボットの開発が始まりました。その背景には、共働きの増加や、清掃の手間を省きたいというニーズがあります。技術進化とともに市場は右肩上がりです。
業務用清掃ロボットの主な機能と適用範囲
業務用清掃ロボットの搭載機能と適用範囲は、種類によって異なります。ここでは、自動床洗浄ロボットと自動バキュームロボットの機能と適用範囲について解説します。
自動床洗浄ロボット
自動床洗浄ロボットは、水や洗浄剤などによる洗浄機能を搭載したロボットです。床に水や洗浄剤を噴射し、ブラシでこすりながら汚れを落とすとともに、汚れた水の吸引も行います。油汚れも効率的に除去できる清掃品質の高さが特徴です。適用範囲は、以下のとおりです。
・石質床
・塗り床
・セラミックタイル床
・コンクリート床
・タイル・シート床
水や洗剤を使用するため、カーペットには不向きです。
自動バキュームロボット
自動バキュームロボットは、センサーで検知したゴミやチリ、ホコリなどを自動で吸引するロボットです。土や砂のほか、紙くずなどの大きなゴミも回収可能です。付属のサイドブラシで壁際のゴミも回収します。障害物検知機能が優れているため、複雑な構造のオフィスや商業施設でも、自立走行が可能です。また、水を使わないため、幅広い床材に対応しています。
ただし、段差が多い場所では、ロボットが進行できなくなるため、レイアウトの調整が必要です。強力な吸引モーターが特徴的ですが、その分モーター音も大きくなりがちです。静音性が求められる現場では、利用が制限されることが懸念されるでしょう。
主な適用範囲は、以下のとおりです。
・カーペット
・ラグ
・ハードウッド
・タイル
業務用清掃ロボットの3つの導入メリット
作業効率の向上と人件費の削減
日々の清掃業務を業務用清掃ロボットが担うことで、従業員は本来の自分の業務に注力できます。とくに専門性が要求される分野やクリエイティブな業務に多くの時間をかけられるため、従業員の持つスキルと時間を有効活用できるでしょう。物理的な負担が軽減されることで、従業員の満足度向上や離職率の低下が期待できます。
清掃品質の向上と安定化を図れる
人力による清掃では、ムラが出たり、細かい埃が床面に残ったりすることがあります。業務用清掃ロボットは、プログラムに従って一定のルートと方法で清掃をするため、清掃の品質が安定します。ムラが生じにくく、人の手が届きにくい部分の清掃も可能です。
一定の清掃品質を維持できることから、利用者の満足度向上にもつながるでしょう。結果として、自社や施設の評判が高まり、利益向上にもつながります。
24時間稼働による柔軟な運用
業務用清掃ロボットは、清掃予約機能を活用することで、深夜や早朝、休日など、職場や施設に人がいない時間帯でも稼働できます。また、人力による清掃とは異なり、連続での稼働が可能です。セキュリティ面に考慮しつつ、柔軟かつ効率的に清掃を進めることができます。
業務用清掃ロボットの活用例
業務用清掃ロボットは、さまざまな環境で活用されています。ここでは、オフィスビル、商業施設の活用例をそれぞれ解説します。
オフィスビルでの活用例
オフィスビルにおいては、主にフロアの床面清掃に業務用清掃ロボットを日常的に利用しています。障害物を回避しながら最適なルートを選ぶため、効率的な清掃が可能です。いつ、どこを清掃したのかといった確認もスムーズです。
エレベーターホール、共有スペースなどのエリアでは、人の往来が少ない時間帯に、定期的に清掃を実施するため、業務の妨げになりません。スケジュールを設定することで、夜間や休日も清潔な状態を維持できるため、清掃品質の安定につながります。
商業施設での活用例
商業施設では、広大なスペースを効率的に清掃できる自動走行式の業務用清掃ロボットが活躍しています。床清掃をロボットに任せることで、従業員の負担が減るだけではなく、人手不足の解消にもつながります。また、自動で充電できる機種であれば、顧客の邪魔にならない営業時間外での清掃も可能です。
コンパクト設計の業務用清掃ロボットを選べば、机や椅子の下など人の手が届きにくい場所もスムーズに清掃できます。フードコートやレストランでは、食べこぼしや飲みこぼしに対応できる小型ロボットが活躍しています。
業務用清掃ロボットの選定ポイントと注意点
業務用清掃ロボットを導入する際は、自社環境との相性や必要なコストを考える必要があります。ここでは、選定のポイントと注意点について解説します。
自社環境とロボットの適合性を確認する
業務用清掃ロボットを利用するスペースについて、通路幅や扉の大きさなどを事前に計測し、スムーズに移動できるかを確認しましょう。また、機能や性能が自社の環境に適しているのかも重要な選定ポイントです。清掃するエリアにデスクや椅子、コードやケーブル、階段や段差がある場合は、障害物を避ける、段差を乗り越えるといった能力を持つモデルを選びましょう。
さらに、床材の種類や汚れに適した清掃機能、連続稼働時間、ダストボックスの容量が十分か、自動で充電ができるかなど、機能面にも十分に考慮する必要があります。
初期コストと維持コストを考慮する
業務用清掃ロボットを導入する際は、初期費用と長期的な維持コストを考慮して、適切な投資であるかを判断しなければなりません。初期費用に含まれるものには、以下の例が挙げられます。
・ロボット自体の購入費用
・設置費用
・初期設定費用
一方、以下は運用費用に含まれる例です。
・消耗品の交換費用
・アップグレード費用
・メンテナンス費用
業務用清掃ロボットは、機能や特徴によって期待できる効果が異なります。初期費用が回収できるか否かは、稼働時間や人件費などを考慮した、詳細な費用対効果分析が求められます。
清掃ロボットの最新トレンドと今後の展望
清掃ロボットの市場は急速に拡大しており、今後は飛躍的な発展を遂げると考えられます。ここでは、最新トレンドと今後の展望について解説します。
AI・IoT技術を活用した次世代ロボット
業務用清掃ロボットの世界市場規模は、2026年までに30億ドルに達すると考えられています。市場規模の拡大に伴い、AI搭載による清掃効率の向上、IoT連携によるリモート管理機能の強化が進むでしょう。AI・IoT技術の革新が、さらに市場の成長を後押ししています。技術革新により、より高度な技術や能力を持つロボットの登場が期待されています。
今後は、AI機能により自律的に動作するものや、予期せぬ事態に対応できるもの、チャットAIのように会話ができる清掃ロボットの開発が進むでしょう。
まとめ
業務用清掃ロボットは、オフィスや商業施設、医療施設など、さまざまな環境で活用されています。自社に導入する際は、自社の環境に合った機能を備えているか、初期費用と維持費用がどの程度かかるかといった点を考慮しましょう。人力による清掃業務をロボットに任せられるため、従業員は本来の業務に専念できて、従業員満足度が向上するでしょう。
USEN-ALMEXでは今期よりロボティクス事業部を立ち上げ、GOLF場向け配膳ロボットを皮切りに、全業界向けに清掃ロボットもサービス開始しております。ぜひ、ご検討ください。
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